先島諸島はその地理的環境から、先史時代より中国大陸や台湾、
そして東南アジア地域との関連が多くみられます。
琉球王国の支配下におかれた後は、世界で最も残酷な税といわれる人頭税を課せられ、
過酷な生活を生き抜いてきた先人たちがそれぞれの島ごとに独特の文化を形成してきました。
島々には神に仕える女性しか立ち入ることのできない「御嶽(うたき)」という聖域があります。
御嶽は、自然のなかに存在する神々とともに祖先神を祀る場所でもあります。
「パナリ島」と呼ばれる新城島は、神聖な空気に包まれた御嶽がいくつもある神の島として、
日本古来の信仰の姿を残しています。
各島はその形状から“高島”と“低島”に分類されます。
標高500m前後の高い山と川がある高島の代表は石垣島や西表島です。
一方、宮古島や竹富島のように隆起珊瑚礁からなる低島には高い山や川はありません。
このような地形の違いにより、水資源が豊富な高島では水田耕作が行われてきましたが、
低島では畑作を中心とした農業が発展してきました。
食べ物を「ヌチグスイ(命の薬)」と呼ぶ先島諸島では、
医食同源の考えに基づく島ならではの食文化が形成されてきました。
なかでも、暮らしの知恵として伝承されてきた薬草は、まさに命の薬。
長命草をはじめ、ニガナや月桃、ウコンなどの多彩な薬草は、
民間療法における薬、また食卓を彩る調味料としても利用されています。
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