その後、第二次世界大戦の東京大空襲により東京は焦土と化し、極めて深刻な食糧難の時代を迎えます。戦後、新宿を皮切りに各地にヤミ市が立ち、生き延びるためにあらゆるものが売り買いされました。復興が進むにつれてヤミ市は都市計画によって整理されていきますが、一部の地域にはヤミ市から派生した大衆酒場や横丁が現存し、困窮に耐えながらもたくましく生き抜いてきた人びとの記憶を今に伝えています。
明治維新、関東大震災、東京大空襲、そして再開発──。破壊と再生を繰り返しながら混沌のなかに秩序を育んできた東京は、全国各地の、そして世界各国の食文化を受け入れて、発展させてきました。今年10月には関東大震災の復興期に開設された築地市場が83年の歴史に幕を閉じました。さまざまな苦難を乗り越えて「日本の台所」として私たちの食文化を支え続け、世界唯一の価値を築き上げてきたその伝統が今、豊洲へと受け継がれようとしています。
時代の流れのなかで進化を続ける東京の食文化を未来へと繋いでいくべく、料理と酒、器をご用意いたしました。私たちなりに再解釈した東京の“FOOD”をお愉しみいただければ幸いです。皆様のご来店を心よりお待ちしております。
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