FOOD NIPPON

FOOD NIPPON 2019
〈後編〉「大阪」のご案内

“FOOD”を知ることは、“風土”を
ひも解くこと── 。

“日本食文化の再発見”を目的に、2013年より季節毎に開催してきたFOOD NIPPONでは、日本各地に代々受け継がれてきた“食”を掘り下げ、先人の知恵や工夫に学びながら日本の豊かさに出逢う場を紡いでまいりました。

今年は前編と後編にわたり、私たちなりに再解釈した「大阪」の食文化をご紹介しております。前編で取り上げた近世の「大坂」に続き、11月5日(火)より始まる後編では、近代以降の「大阪」の食文化をひも解きます。

「大大阪パノラマ地圖」所蔵:国際日本文化研究センター

明治維新の激動期、「天下の台所」として繁栄した大阪の経済的地位は大きく揺らぐこととなりました。貨幣制度が変わり、新たな通貨として「円」が登場。廃藩置県が断行され、諸藩の蔵屋敷は払い下げられて大名貸しのほとんどが帳消しとなり、続く地租改正によって江戸時代より長らく続いた米の流通構図が崩壊。大阪の名だたる豪商の多くが莫大な損失を被って倒産の憂き目にあうことに。しかし、世界最大規模の造幣局の開設や紡績業を中心に工業化が進み、新興の実業家たちの活躍によって明治中期には「東洋のマンチェスター」と称される商工業都市として再生していきます。

「大大阪時代の名所絵葉書」所蔵:大阪市立図書館デジタルアーカイブ
(左)「御堂筋全景」 (右)「難波橋」

大正時代、御堂筋の拡幅や地下鉄の建設など大規模な都市計画事業が展開され、近代都市へと急速な成長を遂げた大阪市。大正後期から昭和初期に至る時期には人口が東京市を抜いて200万人を超えて日本最大の都市に。さまざまな産業や文化芸術が栄え、華やかで活気にあふれたこの時期の大阪市は「大大阪」と呼ばれる黄金時代を迎えます。

伝統と近代的な西洋文化が混在するモダンな文化が花開いた大大阪。モボやモガが闊歩した心斎橋筋には、江戸時代の面影を残す老舗とともに、近代建築の華麗な百貨店や美しく飾られた宝飾店、服飾店が建ち並び、歴史ある芝居町であった道頓堀には、劇場や映画館、カフェや和洋さまざまな飲食店が林立しました。富裕を極めた船場商家の旦那衆は、屋形船で道頓堀五座の川べりに軒を連ねた芝居茶屋まで乗り寄せて食事を楽しみ、歌舞伎や浄瑠璃を観劇したそうです。冬の間、道頓堀を賑わせた牡蠣舟もまた、水の都、大阪の風物詩となっていました。

「大大阪時代の名所絵葉書」所蔵:大阪市立図書館デジタルアーカイブ
(左)「道頓堀」 (右)「新世界の夜景」

近代化の進展に伴い、由緒ある船場商家におけるハレの食のあり方も変化していきます。これまで商談や接待をはじめ、冠婚葬祭の際には馴染みの仕出屋が商家に出向いて料理をしていましたが、次第にその役割を料理屋が担うように。やがて、実利を旨とする大阪らしい発想から、食べたいものをその場で注文して目の前で調理された出来立てをいただける「割烹」と呼ばれる料理屋が現れます。さらに、料理を食べるだけでなく、カウンター越しに華麗な割烹の技を観ても楽しめるカウンター割烹も登場。味に厳しい旦那衆と料理人の掛け合いから、出汁を効かせた大阪ならではの「喰い味」が錬磨されていきました。

その後、第二次世界大戦の大阪大空襲により焼け野原となった大阪。深刻な食糧難が続いた戦後復興期、米の代用品であった小麦粉を用いた、たこ焼きやお好み焼きなどのいわゆる「粉もん」が、腹持ちの良い安くて美味しい庶民の味として広まりました。粉もんの味の決め手も、やはり出汁。「天下の台所」と称された江戸時代より受け継がれてきた奥深い出汁文化は、今もなお、大阪のハレとケの食に息づいています。

時代の変遷のなかで、幾たびもの苦難を乗り越えて再生を図ってきた商都大阪。その担い手となったのは、さまざまな地方から移り住み、大阪商人となった人びとでした。伝統を受け継ぎながらも変化を恐れずに革新を続けてきた彼らに応えるかのように、新しいものを柔軟に取り入れて、創意工夫を重ねて進化してきた大阪の食文化。飽食の時代を迎えた今だからこそ、そこに込められた進取の気風や始末の心に学ぶことは少なくありません。私たちなりに再解釈した大阪の“FOOD”をお愉しみいただけますと幸いです。皆様のご来店を心よりお待ちしております。

FOOD NIPPON 2019
「大阪」開催日程

会期中、FOOD NIPPON 2019「大阪」の特別メニューをランチ、ディナーともに提供いたします。

  • 〈前編〉「大坂」7月1日(月)〜8月3日(土) [終了]
  • 〈後編〉「大阪」11月5日(火)〜30日(土)

FOOD NIPPON 2019〈後編〉「大阪」
特別ディナーコース

てっちり・ふぐ皮サラダ・あらぽんゼリー/船場汁/てんこ盛り(吹き寄せ・菱蟹と天王寺蕪あん・鰊昆布巻き・麩の焼き・鯖寿司)/天然真鯛の山椒焼き/春菊と梨のお浸し/大阪ウメビーフと牡蠣の土手焼き/かやくご飯・粕汁/甘味

特別ディナーコース 
¥9,500 (お一人様)

11月5日(火)より30日(土)まで

*特別ディナーコースの一部はアラカルトとしてもお選びいただけます。
*食材の仕入れ状況により内容が変更になることがございますので、予めご了承ください。

FOOD NIPPON 2019〈後編〉「大阪」特別ディナーコースには…

秋鹿 山廃純米 無濾過生

大阪府の最北部、北摂連山に囲まれた能勢の地に蔵を構える秋鹿酒造は、明治19年(1886年)の創業。厳しい冬の寒気が酒質を鍛え抜くこの地に自社の田をもち、米の旨味にこだわって米作りから酒造りに至るまで一貫して取り組んでいます。骨太な味わいのなかにも透明感のある澄んだ旨味と酸が感じられるこの酒は、お燗にすると実に飲み応えがあります。ふぐのひれ酒にすれば至福の味。FOOD NIPPONオリジナルで作製した錫の酒器で是非お愉しみください。

一合 ¥1,600

11月5日(火)より30日(土)まで

ご予約・お問い合わせ:Tel 03-5720-1300

展示販売

約2000年もの歴史を誇る深江の菅細工や、江戸時代より一大産地として発展した錫の製品をHIGASHI-YAMA Tokyoに併設のサロンスペースおよび系列店のHIGASHIYA GINZAにて展示・販売いたします。是非お立ち寄りください。


系列店情報
HIGASHIYA GINZA


東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル2F
電話:03-3538-3230
営業時間:11:00~19:00 無休

www.higashiya.com/shop/ginza

FOOD NIPPON 開催一覧