HIGASHI-YAMA Tokyo

三年目となる今年は、古くから「豊の国」と呼ばれてきた「大分県」を取り上げ、
その大いなる魅力を分かちあうべく、春夏秋冬、季節毎にテーマを設け、
私たちなりに再解釈した大分県の食文化をご紹介しています。

“発酵”をテーマとした〈春〉の開催に続き、
6月1日（月）より始まる〈夏〉の開催では、“伝承”をテーマにその食文化を掘り下げます。

私たちが出逢ったのは、宇佐市にて生活工房「とうがらし」を主宰する金丸佐佑子さん。
金丸さんは唐辛子の教えを次世代に伝えたいという思いで、この工房を開設しました。
唐辛子の緑の葉は佃煮や味噌漬けに、青い実は柚子胡椒に、
そして熟れた赤い実は春の高菜漬け、夏の糠床漬け、冬の白菜漬けなどに利用します。
つまり、唐辛子を植えることは一年間の台所仕事を段取りし、家事を大切にするということ。
唐辛子の育つ家は栄える── 。
この教えは生活の知恵として、母から子へと代々受け継がれてきたそうです。

そして、さまざまな伝承料理とも出逢いました。
素朴ながらも滋味あふれる「勝ち海老ちらしずし」は、
宇佐の恵みの豊かさを味わうことのできる伝承料理のひとつです。
縁起物として親しまれてきた赤海老の干し物“勝ち海老”を白米と一緒に炊き込み、酢をあわせて
金時豆などの甘煮や椎茸の甘辛煮、さらに旬の野菜を混ぜたこの料理はハレの日のごちそうでした。
勝ち海老をつくる様子は宇佐市長洲の夏の風物詩でしたが、
最盛期には二十軒以上あった加工所“海老舎”も今は三軒を残すのみとなりました。
勝ち海老ちらしずしとの出逢いは、伝承していくべき日本の豊かさや美味しさの本質について
あらためて考えるきっかけとなりました。

工芸では、日田市源栄町の山間で開窯以来、一子相伝で技術や伝統を守り続けている小鹿田焼の陶工や
全国一のマダケ生産量を誇る大分県で盛んに行われてきた竹工芸の工房などとの交流を通じて製作した
FOOD NIPPONオリジナルデザインの器をご用意いたします。

農家や工房へ足を運び、その価値や魅力を伝承していきたいと丁寧に選んだ
大分県の“FOOD”を是非お愉しみください。

皆様のご来店を心よりお待ちしております。